嫌なら出て行け論の矛盾
最近、自称保守なり、自称愛国者な方々の様々なSNSでの書き込みに、「そんなに日本が嫌なら出て行け」と言う論を見かける。
ソレの向けられる相手は、在日朝鮮人に限らず、彼らの主張とは異なる主張をする人も反日としてターゲットにもするし、来日している外国人も対象の場合がある。
ここで違和感を感じるのは、では、「彼ら」は、日本に不満を感じていないのだろうか?って事。
まぁ、多くの方が思い当たる事と思うが、彼らも多くの日本への不満を抱えている。
最も端的なのは、日本の国際社会における基本的なスタンス。
戦後の日本は、現在に至るまで変わる事なく「国際社会において批准する国際条約から二国間条約まで、原則的に遵守する」スタンスだ。
極々最近では、韓国との間で慰安婦像の撤去が条件に含まれる10億円拠出の日韓合意がある。
韓国では慰安婦像撤去どころか、新設の動きもあり、それがウィーン条約違反となるとの批判が日本では相次いだ。
また、日本は尖閣や竹島の領土問題でも、国際司法裁判所を一つのカードとしてチラつかせている。
しかし、彼らは、難民の受け入れや、在日外国人への社会保障等には反対のスタンス。
これらは批准する国際条約があり、アリかナシかの排他的二元論で語られるものではなく、アリしかし選べないが、国際条約に反しない範囲でどの様に国益とのバランスを取るかが重要な問題。
シリア難民の受け入れ人数等でも、安倍政権は苦慮しつつ国際条約と治安悪化やその他様々なリスクとの間で妥当な落し所を示したと、個人的には評価している。
多少話は逸れたが、国際条約に批准した問題について、これを国益のためならばと軽視し排他的二元論でナシを主張するのは、竹島や尖閣、赤い舌等の領土問題や、国際条約軽視の中韓の姿勢を肯定する事に他ならない。
相手が軽視するから、日本が守る必要が無い…なんて事にはならない。
日本の国際社会における基本的なスタンスに不満があり、それに声高に反対を表明しつつ、「日本に不満があるなら出て行け」と叫ぶ。
そして、それは日本の基本的なスタンスから見れば国益に反する。
戦後の日本、歴代自民党政権、今の安倍政権…その全てを否定する保守や愛国者とはなんなのか。
少なくとも、本気で保守や愛国者を自称するならば、こんな簡単な矛盾した主張はするべきでは無い。
誤解されては困るのは、保守や愛国者を否定するつもりは更々無いという事。
この様な安易な感情論から来る矛盾は、正しい意味での保守や愛国者ではないって事。
また、それが戦前以前の何処かの段階の日本を理想とする主張だとしても、それそのものは否定はしない。
様々な主義主張が、矛盾が無いなら認められるべきである。
しかし、今の日本に不満なら出て行け論ならば、自らも不満があればソレに含まれる事は、しっかりと認めるべきで、「自分が日本に不満を持つのは良いが、他人が自分と違う部分に不満を持つのは反日であり出て行け」などと言う子供じみた矛盾が認められるはずが無い事を理解すべきではないだろうか。
矛盾が無い主義主張を否定はしない。
しかし、利己的な感情論から、子供じみた矛盾を抱える発言は、主義主張にすらならない。